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2006(平成18)年
改正男女雇用機会均等成立
この年、1997年に改正された男女雇用機会均等法(以下「均等法」と略)に続く改正法が成立しました。(施行は2007年4月1日から)
1997年の改正法では、社員の募集、採用、配置、昇進を含む全面的な女性差別の禁止、セクハラ規定の整備などが行われましたが、この段階では「差別禁止」はあくまでも「女性」のみを対象としたものでした。しかし、今回の改正法では「男性に対する差別の禁止」も盛り込まれたのが特徴です。主な改正点は、次の5点です。
1)「配慮義務」から「措置義務」へ。
2)男性に対する差別・セクハラも禁止の対象に。
3)間接差別規定の導入
4)妊娠等を理由とする不利益取り扱いの禁止
5)ポジティブ・アクションの推進(調停、企業名公表制度の対象範囲拡大、罰金の増設)
均等法はこれまで事業主に対しては「配慮義務」しか課していませんでしたが、今回の改正により「措置義務」となりました。これは事業主に対して、セクハラの防止や対策に関する体制整備など、具体的な措置を講じることを義務づけたことになります。これは具体的には「事業主は就業規則などで、職場におけるセクハラの内容やセクハラがあってはならないという方針を文書として定め、管理者を含む労働者に周知・啓発すること」「セクハラに関わる性的な言動を行った者に対する対処の方針も文書として明確化すること」などが挙げられます。例えば、企業内でのセクハラ研修などを定期的に行うことも、指針に言う措置義務を行っていると認められることになります。
また、今回の改正では男性に対するセクハラも禁止の対象となりました。これまで女性社員に向かって「女性は寿退社が望ましい」「女性社員はお茶汲みをすべきだ」といった発言をすると、セクハラに当たるとして問題になりましたが、男性社員に向かって「男なのだから泣いたりするのは根性がない」と言ったりするのもセクハラと見なされるようになりました。また、企業名の公表制度に「セクハラ対策違反」が追加されました。さらに、セクハラの事案も新たに紛争調整委員会の調停の対象となりました。
また、従来はなかなか「差別」と見なせなかった「間接差別」についても禁止の対象となりました。これは例えば具体的には以下のような内容です。
1)労働者の募集・採用に当たって、労働者の身長、体重、または体力を要件とすること
2)コース別雇用管理における「総合職」の労働者の募集または採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること
3)労働者の昇進にあたり、転勤の経験があることを要件とすること
これはコース転換で「転勤」を条件にすることによって、女性が自主的に諦めたり、昇進昇格の条件に「転勤」を入れることによって、事実上女性が排除されたりすることを意味しています。米国では「フットボール選手の経験者」といった条件も「間接差別」にあたると見なされています。
ところで、この改正法施行直後の5月に大阪の男子専門学校生が人材派遣会社5社を相手取って裁判を起こしました。これは特許事務所や商社の事務職の求人に応募したところ、男性であることを理由に採用を断られたため、賠償を求めて提訴したというものです。
派遣会社からは「派遣先が女性を希望しているから」「女性向けの仕事だから」などを理由に、断られたのですが、この提訴により、大半の企業が請求を認めたり和解に応じました。これは「女性は一般職」「男性は総合職」という従来の枠の中には収まりきれない現実の就業状況の反映といえるでしょう。今後は「男性一般職」という存在も珍しくはなくなるかもしれません。
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女性・女系天皇の有識者会議、棚上げに :皇室では1965年の秋篠宮文仁親王誕生以降、男子が誕生しなかったために皇室典範見直しの機運が高まった。2001年の愛子内親王誕生もきっかけとなり、2005年から2006年にかけて「皇室典範に関する有識者会議」において愛子内親王の将来の天皇即位を念頭においた女性・女系天皇の可能性が検討された。しかし、この年9月6日、秋篠宮紀子妃が悠仁親王を出産したことで、有識者会議は事実上棚上げとなった
「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。
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