働く女性の50年史(32)

2000(平成12)年

 「女性と仕事の未来館」オープン

この年1月、東京・田町に日本初の女性と仕事に関する専門施設「女性と仕事の未来館」がオープンしました。「女性」と「職業」に特化した施設は日本ではこの「未来館」が唯一の存在です。延床面積約7,500m2 地上5階、地下1階の建物の中には、ホール、セミナー室、図書館などの施設があり、3階には「働く女性のあゆみ」に関する各種の資料の展示があります。ここでは明治時代に、製糸や紡績工場で働き日本の近代化を支えた女性工員や、「職業婦人」という言葉は初めて使われた大正時代に活躍した女性たち、さらには戦争期、復興期、高度経済成長期と、時代を通じて働く女性たちの様子を模型や写真、実物の展示などで詳しく紹介しています。

 女性と仕事の未来館は、労働省(当時)の委託をうけた財団法人女性動労協会が運営を担い、主催事業としては働く女性、働きたい女性を対象とした各種の研修や講演会などの実施や無料のキャリア相談・法律相談なども行っています。さらに、現在は中学、高校に在学中の女子学生たちを対象に講演やセミナーを行う「学校プログラム」も実施し「将来の働く女性」に対する職業意識の向上や適職選びのサポートを積極的に行っています。

 このような施設が開設された背景には、少子・高齢化の進む日本の社会において女性の労働力の重要性が認識されてきたこと、そして1986年に男女雇用機会均等法が施行されたものの、職場において女性の置かれている状況はまだまだ各種のサポートが必要であることなどが挙げられます。

 このような施設に対しては「女性だけを対象とした施設は逆差別だ」という声も時折耳にすることもありますが、女性管理職の比率が他の先進国と比較しても著しく低い日本では、働く女性を励ます「しくみ」や働く女性が世代を超えて共有する知恵や経験を伝えることができる「場」の大切さを改めて感じます。公的な施設ということもあり、派手なPR活動はしていないので、意外に知らない人もいる施設ですが、ぜひ一度利用してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

★この年の主なできごと★


大阪府知事選で太田房江氏が当選。全国初の女性知事誕生。 :2月6日、セクハラで辞任した前府知事横山ノックの後任となったのは官僚出身の太田知事。強制わいせつの罪に問われた前知事横山ノック被告の初公判は3月21日大阪地裁で開かれ、被告は一転して起訴事実を大筋で認めた。その後、8月10日懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)の有罪判決が下された。

 

 

有権者は「寝てしまってくれれば」と森首相発言:</strong様々な放言・失言で知られた森首相(当時)。6月25日の第42回衆議院選挙を前に有権者の投票態度について「まだ決めていない人が40%ぐらいある。そのまま関心がないといって寝てしまってくれればそれでいい」と6月20日発言。結果は、自民は選挙前より過去最大の議席減となり、半数を割った。自民、公明、保守の与党3党は辛くも安定多数を確保したものの、民主党は大きく躍進した。

 

 

 

 

新着情報

働く女性の50年史

1969(昭和44)年「男性55歳、女性30歳という女性のみ若年定年制は無効」の判決(東京地裁)

最新のブックッレビューは「100文字レシピ」(川津幸子著)です。

「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。 

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