働く女性の50年史(15)

1983(昭和58

女性の望ましい働き方「結婚・出産退職」がトップ

この年の総理府「勤労意識に関する世論調査」によれば、女性の望ましい就業のあり方は、結婚・出産退職との回答38%、再就職35%、勤続11%、不就職10%、の結果でした。何と「結婚・出産退職」(これは「その後就業しない」という意味です)がトップでした。これは現在の感覚からすればちょっと信じられないのではないでしょうか?

 ちなみに.内閣府の平成20(2008)年度「男女共同参画白書」で女性の望ましい働き方について「出産で退職し、子どもが大きくなってから再就職」と回答しているのは、女性33.8%、男性33.2%で、これは四半世紀を経てもそれほど大きな変化がありません。しかし、注目すべきなのは、「結婚・出産退職」の回答の減少と、「継続就業」の増加です。具体的には「結婚退職」と回答しているのは女性5.1%、男性5.9%、「出産退職」が女性9.5%、男性12.5%。一方、ずっと「職業を継続した方がいい」と回答しているのが女性45.5%、男性40.9%となっています。

 この25年の間には長引く国内の不況やサブプライムローンの破綻、リーマンショックなど、家計を男性ひとりで支えることのリスクを実感させる出来事が目白押しでした。これまでの男性の働き方を踏襲する必要はないと思いますが、男女とも、時々はお休みもとりながら、しかし継続的に就業できる社会環境の必要性を改めて痛感させられます。

 

★この年のできごと★

女子社員採用に「メガネ・ブス・チビ不可」などの差別的選考基準:紀伊國屋書店労組が女性従業員採用にあたって「メガネ・ブス・チビは採用しない」「離婚者要注意」などの会社側の差別的選考基準を問題にした。労組によるこのような問題提起は非常に珍しいと話題になった。

 

「高齢化社会をよくする女性の会」発足:定年退職後に妻にまとわりつく夫を形容した「濡れ落ち葉」の考案者として知られる評論家の樋口恵子氏が代表。介護や年金などに女性の声を反映させたいと設立された。(現在は「高齢化」の「化」が取れて「高齢社会をよくする女性の会」と改名。NPO法人となった)

 

 

 

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ごあいさつ

福沢恵子

「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。 

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