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1982(昭和57)年
妊娠中絶の「経済的理由」が削除されそうに
妊娠中絶は悲しい選択です。しかし、現実には最後の手段として選ばざるを得ない場合もあるでしょう。そして、この選択権は妊娠・出産のリスクを全て引き受ける女性側にあるべきです。しかし、それが許されないとしたら…?
この年、自民党から優生保護法の「経済的理由」による妊娠中絶を認める項目の削除を国会に上程する動きが見られました。この法案が成立してしまうと、女性が自分の意思で妊娠中絶ができなくなる可能性が高くなります。これに対し反対の声を挙げた市民が8月に「'82優生保護法改悪阻止連絡協議会」(略称「阻止連」)を結成。以後、'82優生保護法改悪反対集会が東京・京都・大阪・札幌をはじめとする全国各地で開催されました。
また、12月には婦人議員懇談会が全員一致で優生保護法「改正」反対決議を出しました。(結果的にこの「改正」案は自民党での党内合意が得られず、83年3月に提出見送りになりました)
当時はまだ女性の「産む・産まないの決定権」(=リプロダクティブ・ライツ)という言葉は定着しておらず、この年ベストセラーとなった「気くばりのすすめ」を書いた鈴木健二(元・NHKアナウンサー)は「女性のセックスは『良い家族を作るため』のものと考えてください」と臆面もなく書いています。これがどの程度噴飯ものであるかは「女性」を「男性」に入れ替えて見たらすぐに分かるのではないでしょうか。
日本初の女性専門書店「ウィメンズブックストア松香堂」がオープン:女性問題を扱った書籍をはじめ、女性の視点から選んだ図書を揃えたユニークな書店が京都に誕生。設立者の中西豊子さんは、積極的にジェンダーやフェミニズムについて発信を続け「ウィメンズブックストア」の20余年にわたる活動を著書「女の本屋の物語」(ドメス出版)に綴っている。
日航機羽田沖墜落事故:2月9日、福岡発の日航機が羽田に着陸寸前、海中に墜落。死者24人、重軽症者142人という大事故となったが、原因は機長の操縦ミスでエンジンを逆噴射させたためと判明した。操作ミスは過度のストレスなどによる心身症によるものと報道されたが、その後の精神鑑定で、機長は精神疾患と断定されて不起訴になった。乗客の証言などから事故の際の客室常務員の落ち着いた行動がパニックや被害の拡大を防いだと話題に。
「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。
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