働く女性の50年史(10)

1978(昭和53

嫌煙権確立をめざす人々の会結成

今でこそオフィスの「分煙」も当然のこととして考えられるようになりましたが、当時は職場もレストランも煙草は野放し状態。煙が苦手な人には辛い環境でした。

218日,『嫌煙』という新語を作った若手デザイナーたちを中心とする約60人が出席して,東京四谷の日本写真文化会館で『嫌煙権確立をめざす人々の会』が結成されました。嫌煙権は喫煙権を認めたうえで,主として公共の場での喫煙の規制を主張するもので、この運動はその後49日の『全国禁煙・嫌煙運動連絡協議会』の結成,510日の『嫌煙権確立を支持する国会議員の会』の発足,64日の全国12都市での集会など,全国的な広がりをみせました。

しかし、煙草は当時の重要な財源のひとつでもあったことも関係して、政府の取り組みは遅れ、嫌煙権運動は長い道のりをたどります。そして、20028月に制定された国民健康法では公共の場所での受動喫煙防止が盛り込まれるようになりました。これをきっかけに、タクシーや駅構内、公共の場所での全面禁煙や職場での分煙が定着していったのです。要した時間は実に24年間。他人の煙に煩わされず、きれいな空気を吸える権利を勝ち取ることにもこれだけの時間が必要でした。

 

★この年のできごと★

英国で試験管ベビー誕生725日世界初の体外受精児が誕生。倫理問題とからんで賛否両論をまきおこした。同年ロンドンに『赤ちゃん銀行』が設立、人工授精のために常時精子を保存し、150ポンド(約2万円)で提供を始めた。

 

新東京国際空港開港:330日の開港を予定されていた成田の新東京国際空港。開港直前の26日に反対過激派の赤ヘル・グループが管制棟に乱入して機器を破壊し予定日の開港は不可能に。結局520日、4000メートルA滑走路1本のみで開港した。1966年に新空港建設が決定されてから地元住民の根強い反対に新左翼各派も加わり、激烈な反対運動が展開された。

 

 

 

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ごあいさつ

福沢恵子

「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。 

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