働く女性の50年史(8)

1976(昭和51

 戸籍法改姓で離婚後も婚姻時の苗字が使えるように

さんの周囲で離婚後も苗字が変わらない人がいませんか?「あれ、どうして?」と思うかも知れませんが、この年の戸籍法改正で、結婚の際に苗字を変えた人が離婚の際に申し出れば、結婚中の苗字をそのまま使えるようになったのです。

それまでは結婚改姓した人(=圧倒的に女性)は離婚の際には自動的に旧姓に戻ることになっていました。しかし、それでは社会生活上不便なことが多いこと(特に、離婚後の旧姓に戻った母と父の姓を受け継ぐ子どもの姓が異なる場合や、結婚していた時ので社会的に広く認知されている場合など)から、離婚に際しては「旧姓に戻る」か「結婚時の姓を名乗り続けるか」を選べるようにして欲しいという声が高まったことに対応したものです。

しかし、それならば結婚の際にも「旧姓を名乗り続ける」か「改姓するか」の選択肢があってもいいのではないでしょうか? これが80年代後半に世論が盛り上がった「選択的夫婦別姓」です。ところが、こちらの方は、自民党を中心に「家族の一体感を損なう」といった反対論が根強く、現在もまだ民法の改正は実現していません。家族全員が同じ名字を共有してもよし、異なる名字を持つ夫婦や家族がいてもよし、多様性のある家族のスタイルが認められるような社会こそが、ひとりひとりの個性や生き方が尊重される社会だと思います。

 

★この年のできごと★

司法研修所教官が女性差別発言: 721日、司法研修所の教官が「男が生命をかける司法界に女の進出を許してなるものか」「女は2年間の修習で得た能力を家庭にはいって腐らせるのが良い」と発言し、女性弁護士らが抗議。しかし、翌年の国会の裁判官追訴委員会では差別発言の裁判官は不起訴となった。

 

5つ子誕生 131日に 鹿児島の病院で山下頼充・紀子さん夫妻に日本初の5つ子の赤ちゃんが誕生した。頼充さんはNHK記者だったこともあり、5つ子の成長期はその後小学校入学まで毎年ドキュメンタリー番組として放映された。

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1969(昭和44)年「男性55歳、女性30歳という女性のみ若年定年制は無効」の判決(東京地裁)

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ごあいさつ

福沢恵子

「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。 

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