働く女性の50年史(3)

1971(昭和46)

 秋田相互銀行で日本初の男女同一賃金の裁判闘争

 現在、皆さんの働く会社では、「職種」による賃金の違いはあっても「性別」を理由とした賃金差は存在しないはずです。(ただ、実態は「性別によって異なる職種」に就いていることが多かったり、勤続年数・役職の有無などによって結果的に男女の賃金格差が生じていることが多いのですが・・・)

しかし、70年代の企業では堂々と「男性用」「女性用」の賃金テーブルが採用されていたのです。これは「男性用」が賃金の上昇カーブが年齢と共に右肩上がりになるのに対して、「女性用」はある一定の年齢からは賃金が頭打ちになるか、上昇しても極めてゆるいカーブになるというものです。

このような差別に対して、76日秋田相互銀行の女性の組合員7人が「男女差別賃金は憲法14条および労基法第4条に違反する」と秋田地裁に提訴しました。これは日本初の男女同一賃金を求める裁判です。この動きは、728月に開催された「差別賃金をはねかえす総決起集会」(秋田県評等主催)につながり、75410日、秋田地裁は原告の主張を認める判決を出しました。

  

★この年のできごと★

「ちふれ」化粧品発売:「地婦連」(=地域婦人連合会)が100円化粧品「ちふれ」を売り出した。広告宣伝費や包装費などを大幅にカットして低価格を実現。おしゃれな広告や容器を楽しむ化粧品と質実剛健で低価格な化粧品の共存時代がスタート。「ちふれ」は現在の価格は100円ではないが「低価格で品質も良い」と根強いファンを持つ。

「婦人参政権亡国論」:作家の石川達三が「婦人参政権亡国論」を『サンデー毎日』に発表。「女には投票権不要、被選挙権だけは残せ」などと主張した。これに対して歴史学者で京都大学教授(当時)の会田雄次が石川を支持「ゴシップと大根の女は地方選挙だけでよい」と同誌に寄稿。これに対し、作家の田辺聖子が「スカタンだらけの男がなにをヌカす」と反論を寄せた。

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働く女性の50年史

1969(昭和44)年「男性55歳、女性30歳という女性のみ若年定年制は無効」の判決(東京地裁)

最新のブックッレビューは「100文字レシピ」(川津幸子著)です。

ごあいさつ

福沢恵子

「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。 

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