働く女性の50年史(2)

1970(昭和45

日本で初めてのウーマンリブの大会が開催される

皆さんは「ウーマンリブ」という言葉を聞いてどんな印象を受けますか? おそらく「男を敵視する怖い女たち」「危険思想の持ち主」という否定的なイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? しかし、本来の「ウーマンリブ」(これは和製英語で本来はWomen's Liberation)は、男性の視点や価値観を基準とした従来の社会のあり方に疑問を投げかけ、女性自身の手で女性を解放しようという、とても真面目な運動だったのです。

1021日の国際反戦デーには東京・京橋の水谷公園では「男は立ち入り禁止」とした集会が開かれ、約200人の女性解放団体のメンバーが数寄屋橋から新橋までのデモ行進を行いました。また、1114日、東京・渋谷で女性解放運動を広めるための日本初のウーマンリブの大会が開催されました。この時のメディアの対応はかなり冷淡で、まるっきり無視するか、記事などで取り上げた場合も「過激な女性の集会」という印象を与えるものもありました。当時はマスコミ業界で働く人は圧倒的に男性ばかりでしたから、このような女性の動きには「冷やかし」や「悪意のある表現」などがつきものだったのです。

また、女性に対するマスコミの表現は「女性特有の嫉妬心」「黄色い歓声をあげて~」「男性顔負けの~」といった、性別によって判断や評価の基準が異なる「ジェンダー・バイアス」が多く見られました。このようなメディアにおける性差別表現が改善されたのは1990年代に入ってからのことです。つまり、この時期から約20年の時の経過を必要としたのです。

今の社会でもまだ「女性であること」にさまざまな制約を感じる場面もあるかもしれませんが、40年前の日本(そしてウーマンリブ発祥の地である米国)では、どれほど多くの女性たちが「生きづらさ」を感じていたことでしょう。その抑圧されたエネルギーが米国のウーマンリブの影響を受けて、一気に盛り上がったのがこの年でした。

 

★この年のできごと★

日本万国博覧会開催314日~913日 大阪府吹田市千里丘陵で「人類の進歩と調和」をテーマに、77カ国が参加した。入場者は目標を大きく上回る6422万人(外国人170万人)。中央のシンボルタワーは岡本太郎の「太陽の塔」。69年に月面着陸に成功したアポロ11号が持ち帰った「月の石」も展示された。

「歩行者天国」が開始:東京都では毎週日曜日の一定時間を、銀座・新宿・池袋・浅草の4つの盛り場から自動車を締め出す「歩行者天国」が始まった。  

 

 

 

 

新着情報

働く女性の50年史

1969(昭和44)年「男性55歳、女性30歳という女性のみ若年定年制は無効」の判決(東京地裁)

最新のブックッレビューは「100文字レシピ」(川津幸子著)です。

「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。 

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