働く女性の50年史(40)

2008(平成20)年

 改正 パートタイム労働法施行

この年の4月、「改正・パートタイム労働法」が施行されました。今回の改正法では、業務内容が正社員と同程度のパートタイム労働者には、賃金や、教育訓練や福利厚生などの機会を、職務内容や本人の意欲・能力を考慮しながら、正社員と同等に与えるよう定めている点が特徴です。

 ちなみに「改正パートタイム労働法の対象となるパートタイム労働者」とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」のこと。 よって、所定労働時間が通常の労働者と同じ「フルタイムパート」はパート労働法の対象にはならず、さらに「労働時間は短く、業務内容は正社員と異なるパート」は、今回の「平等な取り扱い」の対象とはならないのです。

 したがって、この法律で「平等な取り扱い」を受けることができるパート労働者は、厚生労働省によると、約1200万人に上るパートタイム労働者のうち、4~5%程度であり、ほとんどのパート労働者は恩恵を受けられないことになってしまいます。ただ、厚生労働省は「対象とならないパートタイマーに対してもパートタイム労働法の趣旨が考慮されるべきである」としています。

 パートタイマーの問題は、「パート」と「正社員」が「働く時間の違い」ではなく「身分の違い」となっていることです。つまり、同じ時間、同じ仕事をしていてもパートやアルバイト、と正社員では賃金、福利厚生、教育訓練などが全く異なる、つまり「同一労働・同一賃金」の原則が守られていないということです。今回のパートタイム労働法では「同一労働・同一賃金」の原則は貫いているものの、「仕事は正社員並み、待遇はパート並み」というフルタイムパートを救えないと言う点において実効性に疑問があると言わざるを得ません。

 

 

 

 

 

この年の主なできごと★


東京地裁、マクドナルドの店長は「非管理職」と認める :1月28日、日本マクドナルドの店長(46)が「職務の権限や待遇などの実態が伴わないのに管理職扱いされ、残業代を払われないのは違法だ」として未払い残業代などの支払いを求めた訴訟で、東京地裁は原告の主張を認め、同社に残業代など約750万円の支払いを命じた。尚、同社については、2009年10月に神奈川労働局が2007年10月に勤務中にクモ膜下出血で倒れ、3日後に死亡した女性店長(当時41)の遺族に対し、過重労働が原因だとして過労死を認定している。

秋葉原で無差別殺人事件 :6月8日、東京・秋葉原電気街で25歳の派遣社員の男が通行人をトラックではねた後、ダガーナイフで周囲の人を次々と刺し、7人が死亡、10人が重軽傷を負った。容疑者は逮捕後に「生活に疲れた。世の中が嫌になった。人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった」と犯行の動機を供述している。犯行前に、容疑者は携帯サイトの掲示板で約1000回の書き込みを行っており、午前5時21分、「秋葉原で人を殺します」とのタイトルで、「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら」との犯行予告の書き込みを行っていた。

 

 

 

 

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働く女性の50年史

1969(昭和44)年「男性55歳、女性30歳という女性のみ若年定年制は無効」の判決(東京地裁)

最新のブックッレビューは「100文字レシピ」(川津幸子著)です。

「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。 

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