7月に「男女共同参画社会の形成の促進に関する平成12年度(2000年)度までの国内行動計画-」が策定されました。
このような女性の人権や社会参画に対する社会的認識は1980年代に急速に高まりました。まず1979年12月に、第34回国連総会で「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」が採択され、その後の国際会議においても度々大きく取り上げられるようになりました。1993年6月の世界人権会議で採択された「ウィーン宣言及び行動計画」でも、男女の平等な地位及び女性の人権、特に女性に対する暴力の根絶が打ち出され、同年12月には第48回国連総会において、「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」が採択されました。「DV(ドメスティック・バイオレンス)」という言葉が一般的に使われ始めたのもこの頃からです。それ以前は家庭内もしくは親しい間柄の男女間の暴力は「痴話げんかのひとつ」と見なされて犯罪として認知されなかったのです。
そして1995年9月の第4回世界女性会議で採択された「北京宣言」では「女性の権利は人権である」と明確に定め、「行動綱領」では、「女性と健康」、「女性に対する暴力」、「女性の人権」、「女性とメディア」など12項目の取り組むべき課題が設定されました。日本の「男女共同参画2000年プラン」制定もこの潮流を反映したものといえるでしょう。
ちなみに、2000年までに実現すべきこととしての「国内行動計画」は以下のような内容でした。
1)男女共同参画社会の形成に向けて政府一体となった取組みの推進。
2)政策・方針決定過程への女性の参画を拡大するための社会的気運の醸成。
3)男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革。
4)雇用における男女の均等な機会と待遇の確保等のための啓発と、女性の社会参加を積極的に支援するための事業や
その拠点施設の整備。
この他、農村・山村・漁村の女性の地位向上や、女性に対する暴力の根絶、外国人女性の人権、性の商品化や暴力表現が女性の人権を侵害している状況の改善、家庭や学校などの社会のあらゆる分野における男女平等推進教育や学習の充実などが挙げられています。
今の時点でこの「行動計画」を眺めてみると、さてどのくらい実現できているでしょうか?
★この年の主なできごと★
「たまごっち」が大ブレイク:バンダイが発売した仮想ペット型おもちゃ「たまごっち」が大ブームに。定期的にケアをしないとむくれたり、遊んであげると喜んだりする反応が小学生を中心に人気となり、購入のための行列ができたほど。たまごっちはその後も新しい機能が付加され、現在も発売中である。
三菱銀行と東京銀行が合併し「東京三菱銀行」が誕生:4月1日に誕生したこの銀行は資金量世界最大のメガバンクに。ただ、合併により、従来から女性が活躍していた東京銀行と男性優位の傾向のあった三菱銀行との社風が「三菱寄り」になったとされ、旧東京銀行の女性行員の中には外資系金融機関をはじめとする他社への転職者も見られた。