働く女性の50年史(26)

1994(平成6)年

「国際家族年」父親の育児参加の動きが見られる

この年は国連の「国際家族年」で、日本でも「家族」や「子育て」に関するシンポジウムや企画が数多く見受けられました。また、社会的にも男女や家族のあり方に関連した動きがいくつも見られました。

 まず、政府が「婦人問題企画推進本部」を廃止して「男女共同参画推進本部」の設置を決定。これは「女性の問題は女性だけにとどまるものではなく、両性の問題である」という認識を明確にするものとなりました。また、すべての高校で家庭科が男女必修となり、従来女子だけが必修とされていた状態から男子も家庭経営について学ぶ機会が得られるようになりました。

 日常生活レベルにおいても、家族のあり方の変化を反映するような動きもちらほら。例えば西武デパート池袋店では男性用トイレ2ヶ所にベビーキープ(=幼児を座らせておけるいす)が設置され、父親が子ども連れで来店しやすい心配りが見られるようになりました。母子手帳の男性版である『父子手帳』も発売され、半年で2万5000部というベストセラーに。

 また、自治省(当時)は通達で95年3月から住民票の続柄記載を「子」で統一することを決定。(従来は法律上の夫婦の子は「長男」「長女」、そうでない男女の子は「子」という記載だったため、住民票を見るだけで、その子が「嫡出子」か「非嫡出子」が分かるという状態でした).家族が「法律婚をした夫婦とその子ども」だけで構成されることを前提としてきた社会の仕組みにわずかではありますが、柔軟性が見られる兆しが見えたのがこの年です。

 

 

★この年の主なできごと★

女性弁護士らが「働く女性のための弁護団」を結成 :女子学生の「就職氷河期」が続く中、4月に女性弁護士らを中心とした「働く女性の弁護団」が結成された。労働事件の弁護や相談をはじめ、「就職ホットライン」などを設置して就職差別に苦しむ女子学生や女性労働者のサポートを始めた。

 

 

夫婦別姓導入に関心高まる :「基本的法制度に関する世論調査」(総理府)によれば、夫婦別姓導入を望む人は27%となり増加の傾向。特に20代~30代では40%が賛成しており、関心の高さがうかがえる結果となった。

 

 

 

 

 

 

新着情報

働く女性の50年史

1969(昭和44)年「男性55歳、女性30歳という女性のみ若年定年制は無効」の判決(東京地裁)

最新のブックッレビューは「100文字レシピ」(川津幸子著)です。

「女性のキャリア形成支援」「男女共同参画」「大人の学びなおし」をメインテーマに取材や講演を手掛けて30年。仕事を通じて「誰もが自分らしく生きることができる社会」の実現に関われたらと思っています。 

オフィス所在地

アドレス

〒105-0011 東京都港区芝公園2-6-8日本女子会館ビル5階OWL

※メール/フォームからのお問合せを24時間受付しております。